「Story Demo」
配信記念
山代 政一 氏 寄稿
~怪異解説~
『SCARLET NEXUS』本編の序盤ストーリーをお楽しみいただける
『SCARLET NEXUS』本編の序盤ストーリーを
お楽しみいただける
無料体験版「Story Demo」の配信を記念して
『SCARLET NEXUS』の怪異デザイン担当の山代 政一 氏に
『SCARLET NEXUS』の怪異デザイン担当の
山代 政一 氏に
怪異の設計思想や解説についての寄稿をいただきました。
怪異の設計思想や解説についての
寄稿をいただきました。
『SCARLET NEXUS』における怪異の設計思想
高度な思考や感情がなるべく漂わないようなデザイン
怪異は脳を摂取したい欲求に支配されているので、高度な思考や感情といったモノはなるべく漂わないようデザインしています。 加えて、「意思の疎通ができそうに無い」、「何を考えているか判らない」そういった雰囲気になるよう心がけています。 しかしながら、ただ無心に襲ってくるだけでは本作を彩るエネミーとして物足りないと感じ、「恐ろしさ」と対になる二面性として「滑稽さ」を盛り込みたいと考えてデザインしていました。また、怪異は捕食の為、ゲーム的にはユーザーへの遊びの為に様々な攻撃行動をとりますが、それとは全く別に滑稽さを演出する為の固有の所作を「習性」として設定しています。そういった情報の中で遊びに直結していないモノの一部は、エネミー図鑑のフレーバーテキスト等に生かされています。
キーワード「異質」
本作の世界は現代の我々の文明観からそう遠くない近未来をイメージしたモノになっていますが、そこに存在する異形を考えるにあたって、アートディレクターの落合さんからは「異質」といったキーワードを頂いていました。この「異質」に関しては、キャラクターやロケーション等SNX世界の怪異以外の要素と比較しても「異質」ということで、これは山代本来の作家性を発揮するうえでも非常に心強いモノでした。
本来、エネミーデザインが本作の世界設定にマッチするよう素直に進行するのであれば、もう少しポップな意匠のほうが環境に馴染む・溶け込むような調和を産むと思うのですが、「異質」であることを是とするこの設計は、怪異と人間が決して相容れない存在であることを強調し、美術面にも強いインパクトを与える事に繋がったのではないかと考えています。とはいえ「異質」が、ただ単に世界やキャラクターに対して怪異が「合わない」という事だけでは本作の美術は破綻し、あたかも違うゲームの敵キャラクターを持ってきただけのように見えていたと思います。
怪異が本作の世界に「共存」できた理由
山代の作家性の純度をそのままに発揮した怪異が、本作にとって「異質」なまま「共存」できたのは、ひとえに世界観を構築された落合さんの持つ美醜の感覚が山代のそれと非常に近いモノであったからだと感じています。美意識を同じくして制作にあたれたことで、世界と怪異で全く違うモノを作って同じ舞台に乗せても「共存」することができたのだと考えております。
そしてデザインにあたってはいつも穴吹ディレクターから怪異の遊びをまとめた仕様書を頂いていたのですが、その度に「デザインは自由にやってくれ」と一言添えてくれます。怪異ならではの意匠性を獲得しようと、扱い辛いデザインを出す事も多々あったかと思うのですが、キッチリ遊べるよう仕上げてくださいました。美術で奇跡的な綱渡りが成功していても遊びに繋がってなければゲームとして成立しませんので、本プロジェクトの座組は純度の高い怪異デザインをするために欠かせない要件の一つでした。